24.神からの贈り物

エッセイ『神からの贈り物』の画像

 明日はクリスマスイブ。大切な人と食事の約束をしたり、心をこめたプレゼントを用意している人も、たくさんいらっしゃることだろう。せっかくの機会なので、わたしからも一つ提案させていただきたい。お近くの教会のクリスマス礼拝に、ぜひ参加してみてはいかがだろうか。わたしが牧師をしている長坂聖マリヤ教会は、英国教会の流れをひく聖公会に属し、清里の父として今も親しまれているポール・ラッシュ博士によって、四十五年前に建てられた。清泉寮や姉妹教会である清里聖アンデレ教会を訪れる人は多いが、長坂駅から歩いて15分ほどの地に、同じポール博士の息吹を受けた教会があることを知る人は、残念ながらそう多くはないようだ。


 長坂聖マリヤ教会では毎年クリスマスイブの夜7時から、イブ礼拝がささげられる。もちろん、どなたが出席してくださっても大歓迎である。キャンドルを手にもち、聖書に耳を傾け、聖歌をうたってキリストの降誕を祝い、世界の平和を祈る。キャンドルにともされる炎は街の輝きには遠く及ばないが、たくさんの小さな光で満たされた礼拝堂は、深い平安とよろこびに包まれる。いずれの教会でもこの日、神からの素晴らしい贈り物、世に現れた光についてのメッセージが語られることだろう。


 キリストは2000年前、貧しく、最も弱い姿で世に来られた。それはすべての人を神の愛の豊かさにまねくためだった。しかし世界はいまだに、争いから自由になることができない。正義や宗教が殺りくや争いの原因になるのは、なんと悲しいことだろう。平和へのアプローチは、わたしたちの最も身近な、こころの実感の中にあるのではないだろうか。それは「喜び」という感情である。世のあらゆる生命は人智を超えた根源的な生命から生まれ、あらゆる立場を超えて愛され、ひとつであること。その喜びの意味をもっと深く味わい、大切にしたい。明日、平和を祈りつつともす小さな炎が、世界を真の愛で包むことを願ってやまない。


 聖書のルカによる福音書に記された天使の賛美を紹介して、今年最後の連載をしめくくることにしよう。
「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、み心にかなう人にあれ」よきクリスマスを。

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