写真展 『光る国 いのちのくに』

 
 

 

  ようこそアラスカへ

 
 

 
 

 

光る国1

 
 ここに在ること
今ここに在るということ
 
 

 
 

 
光る国2

 

 ぼくには聞こえた。
「そのままの自分で生きればいいんだよ」
 
 
 
 

 

光る国3

 

 こころに憧れていたもの
闇の中より求めていたもの
 
 
 
 

  

光る国4

 
 

 
 
 

  

赤い実

 

ふと気がつけばずいぶん長い時間
膝をつき、うずくまっていたらしい
小さな、大地の宝石の前で
 
 
 
 

  

ときめく水

 
 

 
 
 

  

 

若いカリブーが一頭
草原を駆けていった
後悔も不安もなかった
ただ、今この一瞬を駆けていった
 
 
 
 

  

いのちの国1

 

大地は植物を生み
ミツバチは高く高く
紺碧の空に上がってゆく
やがて虹が雲を貫き
空と大地を結ぶ
 
 
 
 

  

いのちの国2

 

たぶんここは、
僕がいつも立ち返るべき
原点なのだ
 
 
 
 

  

希望

 

ワタスゲが光に包まれ
ぼくは心ひとつに願った
 
 
 

  

連環

 
 

 
 
 

  

 

ぼくはあっけにとられ、立ち尽くした
目の前のあちこちから
突然水が湧き出し、
瞬く間に川となって流れていった
 
 
 
 

  

 

短い夏を生きる、極北で...

 

 
 
 

  

呼び声

 

この岩山にはオオカミの家族が棲んでいると、
イヌイットの友人は言った。
たしかに僕は彼らの呼び交わす声を聞いた。
真夜中、かすかな呼び声を。

 

 
 
 

  

極北の光

 

そういえば、あんな食べ物あったな。
銀紙をむいてチョコをかじると、中に砂糖の壁があって、
その中にとろっとした洋酒が入っている
あのウイスキー何とかというお菓子。
 
 
 
 

  

我が家

 

テントが風で揺れはじめた
嵐の予感

 

 
 
 

  

メメント・モリ

 

毎年春と秋の二度、カリブーの大群が北極海へと続くこの広い谷を渡る。
この地に住むイヌイットたちは、貴重な食料としてずっと彼らを捕獲し続けてきた。
しかし、彼らにとってカリブーは単なる食料ではない。
捕食の関係を超えた、
もっと深く根源的な部分で同じ生命に結ばれている
同士とでもいえばいいのだろうか...。

 

 
 
 

  

南アルプス1

 

見えないはずのものを見
聞こえないはずの音を聴く
 
 
 
 

  

南アルプス2

 

再び問う
どこへ帰ってゆくのか
で、どこへゆくのだろうか...
 
 
 

  

 

小さい生命を生きて
どこへ帰ってゆくのか...
 
 
 
 

  

極北の地にて

 

私たちは何をしてきたのか
そして何処へ向かおうというのか
今からでも振り返ろうではないか
私たちが目を閉じてしまったものに対して
 
 
 
 

  

コレスポンデンス(照応)

 

あの雲は何を語ろうとするのか
ぼくの心は
そこに何を読み取ろうというのか

 

 
 
 

  

極北の来客

 

とうとうテントの中にまで潜り込んできた
極北の友。
あろうことか、広角レンズのフードにまで手を乗せる。
その鼻息がファインダー越しに僕の顔にかかり、
長いひげの先が額に触れた。 
お前、いくら何でもそれは寄りすぎだ。  
あっ、こらっ!
それは靴だ。かじるな!
 
 

  

天地創造

 
 

 
 

  

遠い記憶

 

 
教えてくれないか
この世の最後の息を天に返したその瞬間に
君が何を見、
何を想ったのかを ...

 

 

  

いのちの国3

 

極北の地に育つハイマツは
数センチの直径まで育つのに百年近い時を要すると聞いたことがある。
だとすれば、ひっそりと横たわるこの老木は
いったいどれだけの冬を経験してきたのだろうか..。
一つ一つに意味が込められた傷跡、複雑な木肌の表情を見つめながら、
気の遠くなるような時間の流れに、
いつしか自分も飲み込まれそうになるのを感じた。
 
 
 
 

  

いのちの国4

 

こんなにも、生きているのだ
こんなにも、今、この時を
 
 
 

  

いのちの国5

 
 
 

 
 

  

黎明

 

 
寒さで目が覚めた。
テントから顔を出したら
空いっぱい鮮やかな光彩があふれていた。
いま、この空を見ているのは、
もしかしたら僕だけなのか….
僕はたまらない気持ちになった。
 
 
 
 

  

風の回廊

 
 

荒涼とした大地を
風が走り抜けていった。
その道を知るものは、誰もいない。
風は思いのままに吹く。
その道を知るのは、ただ....。

 

 
 

  

願い

 
 

 
 
 
 
 
 

  

氷河湖1

 

耳元をかすめた一陣の風が
底知れぬ沈黙のなかに消えていった
 
 
 

  

畏れ(氷河湖2)
 

 

 何だかわからなかった
ただ、あまりに大きい何かがあって
心の震えがとまらなかった
 
 
 
 

  

大地の祈り(氷河湖3)

 
 

  超えられないものが、ここにあった。
 
 


写真展 光る国 いのちのくに

2003年12月6日〜2004年2月11日
オオムラサキセンター 長坂自然画廊代2回企画展

2004年2月〜2005年2月
喫茶店 茶望天